ばね定数の計算方法
コイルばねのばね定数は、ばねの線径、コイル平均径、 有効巻数、材料の横弾性係数から計算できます。 このページでは、圧縮コイルばねと引張コイルばねについて、 ばね定数、荷重、たわみ、せん断修正応力を計算する方法を説明します。
1. ばね定数の計算式
コイルばねのばね定数を求める基本式は次のとおりです。
k = G × d⁴ / (8 × Na × D³)
ここで、k はばね定数(N/mm)、G は横弾性係数(N/mm²)、 d は線径(mm)、D はコイル平均径(mm)、Na は有効巻数です。
ばね定数 k は、荷重に対してばねがどれだけ変形しにくいかを表す値です。 k が大きいほど、同じ荷重に対するたわみは小さくなります。
圧縮コイルばねでは、
P = k × δ、δ = P / k
の関係になります。
一方、引張コイルばねには初張力 Fi があるため、
P = Fi + k × δ、
δ = (P - Fi) / k
として扱います。
2. コイル径とばね指数
コイル径を外径または内径で指定した場合は、 線径からコイル平均径 D を求めます。
-
外径から平均径:
D = 外径 − d -
内径から平均径:
D = 内径 + d
ばね指数 c は、コイル平均径を線径で割った値です。
c = D / d
ばね指数が小さすぎる、または大きすぎる場合は、 加工や計算上の注意が必要です。このツールでは c が 4〜15 の範囲外の場合に警告します。
3. せん断未修正応力とせん断修正応力
コイルばねに荷重を加えると、ばね線にはせん断応力が発生します。 まず、せん断未修正応力を次式で計算します。
τ0 = 8 × P × D / (π × d³)
コイルの曲率による影響を考慮するため、 せん断修正応力では応力修正係数 κ を使用します。
τκ = τ0 × κ
このツールでは、JIS B 2704-1:2018 の式(31)の Wahl 式を使用します。
κ = (4c − 1) / (4c − 4) + 0.615 / c
例えば c = 8 なら、
κ = 1.184017857... となります。
せん断修正応力は、材料が安全に使用できることを このツール単独で判定するための値ではありません。 材料、線径、成形方法、使用条件などによって 許容せん断応力は異なります。
許容せん断応力は材料と線径によって決まります。 JIS B 2704 の図11、または材料メーカーのデータシートを参照して、 上記のせん断修正応力と比較してください。
JIS B 2704-1:2018 では、せん断未修正応力と せん断修正応力を区別しています。 許容せん断応力については同規格の図11などを参照してください。
4. 引張コイルばねの初張力
引張コイルばねは、無荷重時でもコイル同士を密着させるための 初張力 Fi を持つ場合があります。
そのため、荷重とたわみの関係は単純な
P = k × δ ではなく、
P = Fi + k × δ
となります。
初張力 Fi は製造条件によって決まるため、このツールでは 計算によって求めず、入力値として扱います。 既定値は 0 N です。
5. 材料と横弾性係数
ばね定数の計算では、材料ごとの横弾性係数 G を使用します。 同じ寸法のばねでも G が異なれば、ばね定数も変わります。
このツールでは、次の代表値を使用しています。
- SUP9:78,500 N/mm²
- SWP-B:78,500 N/mm²
- SW-C:78,500 N/mm²
- SUS304-WPB:68,600 N/mm²
- りん青銅:41,000 N/mm²
- 黄銅:39,000 N/mm²
実際の設計では、使用する材料の規格値やメーカーの データシートを確認してください。
6. 密着長さについて
このツールでは、密着長さを有効巻数に座巻数2巻を加えた値として、
(Na + 2) × d で計算します。
実際の端部形状や座巻の扱いによって必要な計算は異なるため、 寸法設計では端部形状も確認してください。
7. 寸法図の見方
寸法図には、入力した線径、平均径、自由長さを表示します。 コイル形状の座標は計算ロジックで生成し、SVGとして描画しています。
「寸法図をSVGでダウンロード」を押すと、 現在表示されている寸法図をSVGファイルとして保存できます。
8. この計算結果について
このツールは、入力された寸法、材料定数、荷重、 たわみ、引張ばねの初張力から、ばね定数と せん断応力を計算するための簡易計算ツールです。
許容せん断応力との比較による設計判定、疲労寿命、 座屈、温度、製造条件、端部形状などを含む 総合的な設計判定は行いません。